Q49)敷地境界に塀を建てる時には、どこに建てればいいの?

A49)
 敷地境界に塀を建てる、これは当然発生する工事項目です。敷地境界に対してどこに建てれば良いのか?質問がありました。質問に対する答えとしては「どこに建てなくてはいけないと言う事はありません。」3つの選択肢があると思います。

1) 自分の敷地内に塀を建てる
2) 敷地境界を中心として、隣地と折半した位置関係に塀を建てる
3) 塀を建てない

では、どうすれば良いのか?これについては、施主さんが決めていただく事になります。ただし、上記の2)を第1の選択とした場合には、その敷地境界を共有する他の土地所有者との話し合いが必要となります。民法上(と言うと堅苦しく、仰々しいのですが・・・)では、隣地の地主と共同で塀を作ることができると謳われています。費用も共同で。さらに民法では「板塀か竹垣」と材料についても謳われていますが、昔に制定された文言のままなのでこうなっているようで、現在ではブロック塀なども該当するようです。なぜ材料まで!と言うと、共同で作ると言う事はある意味該当部分の塀設置費用を折半すると言うことで、あまりにも高い費用の掛かる仕様で作りたいと言う一方的な希望の下進めたいならば、その分は自分で出すべきで、現実的な費用を折半すると言う事となります。どう言う仕様にせよ、お互いの土地にお互いが費用を出して作るのですから事前の話し合いが必要となります。が!往々にしてすんなりと行かないのがこの手の土地所有に関する事象です。さらに、共同で建てた共有物ですから、一方が一方の好き勝手にその塀を利用したりいじれない。
 上記3)については、近隣との話し合いなど不要になりますが後々敷地境界が不明瞭になる可能性を含んでいるので、芳しくないでしょう。

 私の事務所で関わった施主さんの多くは1)を選択している場合が多いです。これは近隣と敷地境界の塀で揉めるのを避け、さらに自身所有の土地の境界を明確にしておく事ができる方法として選択しているようです。

 民法で謳われている2)の方法であれば、費用も折半、塀の半分は庭として最大限有効に利用できるので良いと思いますが、考えてみると敷地境界が間違っている訳でもない状況で、塀を建てる位置くらいの事で近隣と揉めて以降お互い気まずくなるのは得策ではないし、塀の半分と言っても塀厚の5〜7.5cm程度の話しですから、(仮に)気苦労して折半した割りには得る効果は少ない。境界を明確にする目的で建てる塀ならば、自分の土地に自分の費用で建てて目的を果たし、自由に利用した方が断然良い!と判断するようです。

 土地に絡む話はとてもシビアな案件となりますので権利等を前面に出すよりも、自身の権利を確保しつつも、お互いにとって良い関係が築ける方法を選択することを薦めます。こんなことわざがあります。「良い塀は良い隣人を作る。(Good fences make good neighbours)」

<2005年12月執筆>