Q47)夜、外より室内の方が暑いんです。どうしてですか?

A47)
 今住んでいる所は夜間外より室内の方が暑いんですがどうしてでしょうか?とのご質問。
実際に住まいを拝見していないので、一般的に室温に影響を与える事柄で説明して行きたいと思います。
 室温に影響を与える熱源は、日射、室内の電気機器、炊事、人体などとなります。
 そこで、室内が高気密で空気の出入りが全くなかったと仮定した場合、室内の温熱環境は上がる一方となります。室内の空気と外の空気の出入りが必要となる訳で、つまり「換気」や「通風」が必要と言えます。これは、当たり前のことで皆さんご存知の常識ですね。
 さてもう一つ『建物自身が夜間の熱源』となる事により「寝苦しい夜」となる場合があります。どう言う事でしょうか?それは「熱容量」と言う物に起因しています。
 沖縄の一般住宅はその多くが「鉄筋コンクリート」で出来ている建物です。この「コンクリートの建物」と言う物は「熱容量の大きい建物」と言えます。「熱容量が大きい建物」は『熱しにくく冷めにくい」と言う特徴があり、日中直射日光によりゆっくりと熱せられ多大な熱を受熱した鉄筋コンクリート造の家は、日没後ゆっくりじわじわと熱を放射して冷めて行きます。この為、夜間外は涼しいのに部屋の中は寝苦しく暑いと言う現象になるのです。
 ではそれを防ぐにはどうしたら良いか。適切な「通風(換気)」と『断熱』です。屋根、壁面の断熱措置が重要になります。外側の断熱措置は日中の受熱量を抑制し、内側の断熱措置は室内への熱伝達を抑制します。

 少し理科的な話しで「熱容量」とは何かと言いますと。
 熱容量=物質の比熱×物質の質量
と言う式で表されます。コンクリートの比熱は0.88(水は4.19)<絵とき建築環境工学:オーム社/より抜粋>です。コンクリート自身の比熱は小さいのですが、1建物で使われるコンクリートの総質量は多大になるため、鉄筋コンクリート造の建物は熱容量が大きく「熱しにくく冷めにくい」建物と言える訳です。

<2005年9月執筆>